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Posted by チェスト at

2017年10月24日

腰紐は命綱⑧

洗ってアイロンをして
ご自分の腰紐は大切にしたいものです。
まず腰紐を買い求めたら、紐の端に大きくお名前を書くことをお勧めします。
手で力を入れて締める腰紐は、以外に汚れるものです。
毎回とはいいませんが、洗って使いたいものです。
乾いたらしっかりアイロンをかけて下の写真のような星形にたたんでおきます。
もちろん他の方法でも、シワにならない保管が必要です。

私の知り合いで、使った腰紐までクリーニングして、いつも新品同様にされている方がいらっしゃいます。
きれいな腰紐は使いやすく、着付けている者も清々しくなりますね。
しかし、そこまでしなくても、汚れをなくしたきれいな腰紐は使いやすいものです。

星形にたたんでおきたい腰紐の保管
使った後の腰紐は、シワになっていて次回使いにくいものです。
私は星形にたたんでおきます。星形にたたんでおくと、シワがとれます。
洗わずに、丸めておくだけを繰り返しますと、汚れた棒状の丸紐になってしまい、使いにくくなります。

着付け師にとっては大切な相棒ですから、腰紐は大切に取り扱いたいものです。



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Posted by 衣裳 at 07:51Comments(0)舞踊の着付け

2017年10月23日

気になる裾の上げ方

舞台の床を掃いてる裾先
仕事柄、舞踊の会を観に行くときが多いのですが、、踊り手さんの裾先が気になります。
普通の着付けの拵えで舞台に立つと、必ずといっていいほど、裾が床を掃いているからです。
そうなると、踊りを観るどころではありません。目が床を掃く裾先に釘付け。

日本舞踊は、まっすぐに立って踊る所作は少なく、腰を落とした動きが多いのです。
腰を落とした時に、床と裾が平行になるとなんともいい形になります。
踊り手さんに中腰になってもらって、裾を床と平行にして腰紐で裾を固定して立ってもらってください。
少なくとも15cmくらいは裾先を上げないと掃くことになるわけです。

まあ、なんてひどい着付け!
昔のことになりますが、ある美容師の先生が、私どもが着付けた裾先を見て、「まあ、なんてひどい着付けでしょう」というが早いか、裾を思いっきり引き下げられた思い出があります。

裾の上げ方ひとつとっても、普段の着付けと日本舞踊の着付けは基本的に異なります。
日本舞踊の着付けを頼まれたら、裾はしっかり上げましょう。
裾を上げても、引きずられて、きものの両脇の裾が上がらないように着せてください。
この作業は慣れないとなかなか難しいものです。
ぜひ工夫をしてみてください。




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Posted by 衣裳 at 22:56Comments(0)舞踊の着付け

2017年10月22日

腰紐は命綱⑦

腰紐の締める位置は職業によって…
腰紐を締める位置を間違うと、モデルさんが痛がったり、苦しくなったりします。
胸元を締める場合でもそれは同じことです。
ミゾオチを避けたり、さまざまな工夫が必要です。
ふくよかな方と、スリムな方とでも、締める位置でその結果はちがってきます。
特にスリムな方の場合、脇の補整が大切です。

一般の着付けの腰紐の位置は、腰骨の指二本分上の位置で締めますが、花街の芸者の腰紐などは、腰骨の上でしっかり締めます。
柳腰をつくる上で欠かせない位置です。
着付けの現場では、日本舞踊の、芸者の役を演じる踊り手に着せる場合の腰紐は、一般の着付けと同じ位置で締めますが、本物の芸者さんに着せる場合は腰骨で締めます。
職業によって、腰紐の位置は微妙に違ってくる訳ですし、その時に締める帯結びとも、密接な関係があります。
きものの着付けに欠かせない命綱…腰紐。
私たちも、この課題について、さらにお勉強を重ねてまいりたいと思います。



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Posted by 衣裳 at 11:20Comments(0)舞踊の着付け

2017年10月19日

腰紐は命綱⑥

ヒモの結びはいろいろですが…
腰紐の結び方は、着付けをする人によってさまざまです。
ただはっきりしているのは、、ゆるまないように結べるかどうかです。

私たちは、お互い着付け師で、相モデルになっておけいこします。
その時にモデルになった人は、締め方がしっかりしていない時や、紐がゆるんだ時に、「いまゆるんだ!」・「もっと締めていい」などと声を掛け合うようにしています。
その時に言わないと、着付けている人の参考にならないからです。
私たちの合理的な結び方はありますが、文章にし難いので、それぞれの研究にお任せ致します。

どんな結び方でもかまいませんが、いつもどこかを常に押さえて、絶対にゆるまない結び方をする必要があります。
ただ私たちは、舞踊着付けの舞台裏での早変わりなど、短時間で脱がせる必要がありますので、少し工夫した蝶々結びに致します。



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Posted by 衣裳 at 22:05Comments(0)舞踊の着付け

2017年10月18日

腰紐は命綱⑤

紐はどこで締めるの?
前から回した腰紐は後ろでしっかり締めます。
ここで大切なのは、締める位置と締め方が肝心です。
何気なく締めている腰紐ですが、ほとんどの方が背中の真ん中で締めていらっしゃいます。
一体背中のどの位置が締めるのに適しているのでしょうか。
みなさん、モデルさんを使いながら、ひと工夫されてみて下さい。
ゆるむように締めていませんか?
両手が離れた状態で締めている方も…締めてから紐を前にまわす時にゆるみます。
しっかり締めたいために、紐を指に絡めて締めている方も…絡まっている紐をほどく時にゆるみます。
締めたい一心で、一気にガッと勢い良く締める方もいらっしゃいますが、モデルさんの身体はゆれるし、反作用でゆるみます。
しっかり締めたいために、手や腕をテコにして締めている方がいますが、モデルさんが嫌がりますし、禁じ手のひとつです。
しっかり、ジワーっと、片方づつゆっくり
後ろに回った両手をくっつけて、ジワーッと締めていきましょう。
左右どちらでもいいですから、反対側から回された腰紐の上に、かえりの引き締めた腰紐を、しっかりのせてみて下さい。
すると引き締めた反対側の紐を離してもゆるみませんよ。
後ろに回した腰紐の上を通って、片方づつゆっくり前にまわし、前で紐を結びます。



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Posted by 衣裳 at 11:22Comments(0)舞踊の着付け

2017年10月18日

腰紐は命綱④

衿先がズレないように慎重に…
腰紐を締める事に熟練している方は、紐を身体に巻く時に、衿先がズレないように気をつけます。
これもちょっとしたコツです。(左手の指をどう使うか工夫します。)

一般の着付けで、後ろの腰紐の下に両方の親指を入れてシワを取ろうとされる方もいらっしゃいますが、重い衣裳の場合は前が崩れてしまいます。
二人着付けで、腰紐を締める前に、後の相方があらかじめシワを取るようにすると万全です。



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Posted by 衣裳 at 11:20Comments(0)芸妓と舞妓

2017年10月17日

若い芸者さんの交流の輪が広がって…

木更津の芸者、若葉さん➠舞妓さんにあこがれて…
今日は東京都・向島の料亭「入舟」さんに、千葉県・木更津の芸者、若葉さんがお稽古の見学にみえました。
若葉さんは、小さな頃から舞妓さんに憧れていました。
しかし、ご両親の反対にあって断念。
でもやっぱり諦めきれず、木更津で芸者さんになったそうです。
「木更津は、こういう日本の文化的なことを残そうと、バックアップしてくださる組織があって心強いです。」とおっしゃってました。

裾引きに感動/着付け通じて若い芸者さんたちの交流が…
今日は裾引きの着付けをするところを初めて見て感激されていました。
来月もご一緒にお稽古をする約束をして、嬉しそうでした。
向島の千花さんは「遠い所をおいで頂いてありがとうございました。」と向島名物のお土産を渡して交流を深めていました。
若い芸者さんたちの輪が広がっていくといいですね。
そのために、私も指導に最善を尽くしていきたいと思います。



上の写真/左から、千花さん、貴船さん、若葉さん。(美奈代さんはお休みでした)


木更津の芸者、若葉さんの新聞記事➠ 東京新聞 朝日新聞

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Posted by 衣裳 at 21:28Comments(0)芸妓と舞妓

2017年10月16日

腰紐は命綱③

取れる位置に腰紐を!
腰紐の材質については前号で書きました。
まず腰紐の長さですが、手持ちの腰紐は、L寸をお勧めします。
体格のふくよかな方の場合に、寸法が足りない場合が出てくるからです。

いよいよ着せ付けの準備です。
仕事は段取りが大切ですが、腰紐も同じです。
私たちは写真のように、腰紐を二つに折り、中心の環を引き出せるように準備します。
手に取ってから中心を持ち直すことは、時間のロスです。

この腰紐を、利き腕の側の取りやすい位置に置いておきます。



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Posted by 衣裳 at 12:42Comments(0)舞踊の着付け

2017年10月15日

腰紐は命綱②

弘法も筆を選ぶ。
腰紐といっても、その材質はさまざまです。
安価で手軽に手に入るものに、ポリエステルのものがあります。
これを腰紐に使うと危ない。
手馴れている人でも思うように締まらないし、締めても滑ってしまい、思うようになりません。




私たちが振袖や舞踊の着付けで使う腰紐は、綿やモスです。
そのほうが、ゆるみが出にくいからです。
つまり、弘法も筆を選ぶわけです。

腰紐は命綱。
しっかりした命綱…出来るだけ滑らない腰紐を選ぶようにいたしましょう。

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Posted by 衣裳 at 23:37Comments(0)舞踊の着付け

2017年10月14日

腰紐は命綱①

ベルトもいいが、腰紐もね!
現代の着付けに登場している「きものベルト」は大変便利です。
ゴムベルトが適当な遊びを作り、あまり締め付けることもなく、楽な着付けが実現します。
とくに自装の場合にその威力は発揮されます。

ところで、きものを相手に着せ付けるという分野があります。
着せ付けといっても、十二単をから浴衣までさまざまです。
この中で、私たちが現在専門にしている着せ付けは、「十二単・束帯など宮廷衣裳」、「歌舞伎衣裳や日本舞踊の衣裳」、「花嫁衣裳」、「振袖の衣裳」などです。

これらの衣裳を固定する方法は、ベルトで固定するのは無理があり、どうしても腰紐に頼らざるを得ません。

松竹衣裳の衣裳方で、新派の大御所・花柳章太郎先生付きで、のちに初代・水谷八重子先生の着付けも担当した、根津昌平氏の著書の中で、「腰紐の締め方を見るだけで着付けの力量がわかる」という意味のことが書かれています。
それほど腰紐は肝心要なのです。
衣裳が重たくなったりすると、まさに腰紐は命綱。
振袖でも、ちょっと裾を踏んだだけできものが崩れていきます。




さてどう締めていいものやら…

腰紐の材質は?、体のどこで締める?、どの程度の締め具合?、
私どもの着せ付けの教室では、腰紐の締め方を学ぶことだけに、2時間くらいはかけておけいこします。

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Posted by 衣裳 at 22:08Comments(0)舞踊の着付け

2017年10月11日

技を盗む職人たち

ある名工がこんなことを。
名人といわれる職人さんが言っていた言葉が、印象に残りました。
「その道で上手くなるにはどんなことが必要か」、そんな設問だったと思います。
その職人さんは言います。
「この仕事が楽しくて大好きですね。お休みの日なんかいりません。毎日やり続けることですね。それと…わずかな違いもわかるほどの目を養うことですかね。」

同じものを見ているのに…
私も職人さんの仕事を見るのが好きです。
どの仕事でも名人はいます。
そんな職人さんの手先を見ていると、ほれぼれするほど無駄のない動きをします。

たとえば大工さんの、仕上げのカンナがけなどは、向こうが透けるほどのカンナ屑がでて、ヒノキの表面が鏡のようになります。
石工の職人さんが、岩のような石材に数本の鉄杭を打ち込むと、見事にまっすぐ割れていきます。
木材も石材も「目」があるそうで、その道のプロだけがわかるものでしょう。
同じものを見ているのに、プロの職人にはわかるのです。



ある程度は教えるが…
しかし、どの名人も初めがあってここまできました。
技術を上げるには、どの職種でも、現場で学んでいくことを通してのみ、得られます。
自分が十年かけて得られるものを、十年、二十年のベテランから学ぶのです。

歌舞伎座の着付けの名人いわく、「ある程度は教えても、肝心のところは教えない」。
だから、名人が隠している技を盗むしかないのです。
どうして盗むのかって…。
盗みたいものがあれば、見えてくるのですよ。
技を盗むためには、本当に欲しいものがあると、盗める力が備わってくるという事でしょうか。

「わかりました。これは○○○ということですよね?」といっても、盗まれた先輩は返事もしてくれませんよきっと。

技術を盗ませていただいた先輩に感謝しています。
私も舞踊の舞台裏で、小林衣裳の着付けの名人に着付けを見せてもらいました。
普通はありえないことです。
一日中、立ったままでメモも取らず、目で技術を盗む。
言葉でなど絶対教えてくれません。「盗んでみな…」です。
もちろん質問などは出来ず、目の前で展開される着付けの表わざ・裏ワザを学びました。
いまはこの名人もリタイヤされて、お会いすることもなくなりました。

松竹衣裳常務の岸田先生から教えてもらったことも大きな出会いでした。
亡くなられる一週間前まで、お電話でご指導頂いていました。
若いときに、名女優・山田五十鈴のお付の衣裳方でしたが、山田先生のあとを追うように亡くなられました。
歌舞伎衣裳着付けの図書館がまたひとつなくなりました。
もっと早く多くのことを学んでいればと思うと残念でなりません。
技術はやっぱり盗むものだと思います。与えられたものはあまり力にならない気がします。
欲しい技術は、盗みたいほどの情熱があってこそ身に付くのではないでしょうか。  


Posted by 衣裳 at 11:25Comments(0)舞踊の着付け

2017年10月10日

今月東京で、木更津の芸者さんとお会いします。

お問合せがあって、向島でおけいこの見学に!
先日、関東の芸者さんからお問合せがありました。
「舞台メイクと裾引きの着付けをお勉強したい」との事でした。
お電話を頂いたのは、千葉県木更津の芸者、若葉さん。

若葉さんは、2017年7月5日の東京新聞や朝日新聞などでも報道され、話題になった若い芸者さんです。➠東京新聞のWEB記事

向島の料亭、「入船」の女将さんのご好意で…
とりあえず、東京の向島の芸者さんのおけいこ場に、木更津から若葉さんが見学に見えることになりました。
向島の芸者さんから相談を受けた、料亭「入船」の女将さんのご好意により実現したものです。

東京の向島の芸者さんと、千葉の木更津の芸者さんの初めての交流です。
いまからお会いするのがすごく楽しみ。

私たちの技術を通して、花柳界の「技芸の伝承」の一助になれば、幸せなことだと思います。






  


Posted by 衣裳 at 22:54Comments(0)芸妓と舞妓